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SUSとは?特徴や用途を解説!

2024.09.30

SUSとは?

SUSは、ステンレス鋼の一種で日本のJIS規格で規定された「Steel Use Stainless」の略称です。通常は「サス」と呼ばれます。ステンレスは「錆びない鉄」として知られ、その名の通り、錆びにくく耐食性に優れた特性を持っていますが、SUSはその中でも特に汎用性の高いステンレス材料の一つです。建築、食品機械、自動車、そして家電製品に至るまで、広範囲な産業分野で使用されているのが特徴です。

また、SUS板と呼ばれるものは、ステンレス鋼の板材のことです。この記事では、SUSの歴史や特徴・用途、SUS板と相性の良いシルク印刷について実際の印刷事例もご紹介しながら詳しく解説いたします。

ステンレス

SUSの歴史

SUS(ステンレス鋼)の歴史は、複数の発見や技術革新によって築かれてきました。ステンレス鋼の起源は、18世紀末にフランスの科学者ルイ・ヴォークランがクロムを発見したことに始まります。クロムは酸化に強い特性を持つことが明らかになり、腐食を防ぐための合金としての可能性が検討され始めました。

その後、19世紀を通じてクロムを鉄に添加する実験が続けられ、合金の研究が進展しました。1913年、イギリスのシェフィールドでハリー・ブレアリーが鉄にクロムを約12%含む合金を開発し、これが現在のステンレス鋼の原型となりました。この新しい材料は錆びない鉄として注目され、耐腐食性が高いことから多くの産業での利用が期待されました。

ただし、ブレアリーの発見は一人の功績だけで成り立ったわけではなく、19世紀から続く多くの科学者による研究と試行錯誤の成果でもあります。ステンレス鋼の商業利用を推進したのはブレアリーですが、クロムの特性を活用した合金研究は、ステンレス鋼の基盤を築いた重要なステップでした。

今日では、SUSは工業製品、建築、日用品など幅広い分野で使用されており、その優れた耐食性や耐熱性は世界中で評価されています。

SUSの特徴

SUS(ステンレス鋼)は、その高い耐食性や優れた耐久性により、さまざまな用途で広く使用されています。その特性は、過酷な環境下でも品質を保つため、多くの産業分野で重宝されています。以下に、SUSの主な特徴をご紹介します。

  • 耐食性:鉄にクロムを添加することで、表面に不動態皮膜という非常に薄い膜を形成し、錆びにくく、酸やアルカリにも耐性があります。これにより、工業用機械や建築物の外装に多く使用されています。
  • 耐熱性:SUSは高温環境下でも形状や性能を維持します。特に、化学プラントや石油精製工場など、高温のプロセスが関わる場所では、SUSの優れた耐熱性が活躍しています。
  • 加工性:SUSは切断や曲げ加工が容易で、溶接にも対応可能です。これにより、複雑な形状の部品や建築材を製作することができます。例として、厨房機器や装飾用パネルの製造に利用されています。
  • 美観性:表面が滑らかで美しく、錆びにくいため、装飾的な用途や建築物のデザイン面でも多く採用されています。光沢を持たせたヘアライン仕上げなど、多様な表面加工が可能です。
  • リサイクル性:SUSは100%リサイクルが可能で、リサイクルされたステンレスも新品同様の性能を発揮します。これにより、資源の有効活用と環境保護に寄与しています。

SUSと他の素材との比較

SUSは、特に耐久性や耐食性に優れていることから、多くの産業分野で使用されていますが、他の素材と比較してどのような点で優れているのかを見ていきましょう。ここでは、SUSを代表的な素材であるアルミニウムプラスチックと比較して解説します。

アルミニウムとの比較

アルミニウムは、軽量で加工がしやすいため、特に航空宇宙や自動車産業で広く使用されています。一方、SUSと比べると耐食性に劣り、特に酸やアルカリに対しては弱い傾向があります。以下が主な違いです:

  • 耐食性:SUSは、錆びにくく、酸性やアルカリ性の環境下でも長期間耐えることができます。これに対し、アルミニウムは腐食しやすく、特に海水や塩分を含んだ環境では劣化が早くなります。
  • 耐久性:SUSは硬度が高く、外部からの衝撃にも強いです。アルミニウムは軽量ですが、その分耐久性では劣ります。
  • 重量:SUSはアルミニウムよりも重いですが、その重さが逆に強度と耐久性を高めています。軽量さが重要な場面ではアルミニウムが有利です。

銅との比較

は優れた導電性や熱伝導性を持ち、電気機器や配管に広く使われています。しかし、SUSとの比較では、次のような違いがあります:

  • 耐食性:銅も酸化することで表面が緑青色に変わるため、外観を維持したい用途には向きません。SUSは、錆びにくく、見た目が美しく保たれるため、デザイン性が重要な製品に適しています。
  • 耐熱性:銅は熱伝導性が高いため、高温環境での使用には適していますが、SUSも高い耐熱性を持ち、一般的な工業用途では十分に対応可能です。
  • コスト:銅は比較的高価であり、また柔らかいため、加工後の強度が低くなる場合があります。これに対し、SUSは価格が安定しており、耐久性も高いため、長期的なコストパフォーマンスで優れています。

プラスチックとの比較

プラスチックは軽量で安価、また加工が容易なため、日用品や多くの製品に使用されますが、SUSとの性能比較では以下のような違いがあります:

  • 耐久性:プラスチックは軽量ですが、強度や耐久性においてSUSには遠く及びません。特に高温や紫外線に晒されると、プラスチックは劣化が早いです。一方で、SUSは非常に堅牢で、長期間にわたって使用することができます。
  • 耐熱性・耐火性:SUSは高温に耐える性質があり、火災が発生した場合でも変形しにくいです。プラスチックは溶解することが多く、火災時の使用には不向きです。
  • 見た目とデザイン性:プラスチックは多様な色やデザインを施すことができる一方で、SUSはその光沢のある金属的な外観が、スタイリッシュなデザインを必要とするプロジェクトに適しています。

SUSの用途

SUSは、その優れた特性により、さまざまな分野で使用されています。以下はその代表的な用途です。

  • 建築物の外装:耐久性が高く、長期間にわたり美しい外観を維持できるため、ビルや住宅の外壁、さらには橋やタワーのようなインフラにも使用されています。
  • 工業製品:高い耐熱性と耐食性を持つため、石油精製プラントや化学工場の設備、さらに自動車や航空機の部品にも広く使用されています。
  • 家庭用品:シンク、調理器具、冷蔵庫の外装、さらにはドアハンドルなど、家庭内でもその耐食性と美観性を活かして多くの製品に使用されています。
  • 医療機器:錆びにくく衛生的な特性から、手術器具、歯科用器具、医療用ベッドなどの医療機器に使用されています。SUSの耐久性と衛生性は、感染リスクの低減にも寄与しています。
  • 食品業界:清潔で錆びにくい特性を活かし、食品加工機械や調理設備、さらには飲料の貯蔵タンクにも使用されています。これにより、衛生管理が重要な食品工場での信頼性が高まっています。
  • 交通インフラ:新幹線や航空機の部品だけでなく、信号機の支柱、ガードレール、鉄道の架線柱など、耐久性を求められる交通インフラに広く使われています。

SUS板(ステンレス板)とシルク印刷の相性

SUS板は、シルクスクリーン印刷との相性が非常に良いとされています。シルクスクリーン印刷は、版を用いてインクを素材に転写する方法で、特に耐久性と鮮明さが求められる製品に効果的です。SUS板の平滑で硬質な表面にインクがしっかりと定着し、細かいデザインも精細に再現できます。

さらに、SUS板は耐久性に優れ、屋外使用でもデザインが長持ちします。風雨や紫外線による劣化にも強く、看板や操作パネル、銘板などの製品に広く採用されています。シルクスクリーン印刷によって、耐久性とデザイン性を両立した鮮やかな仕上がりが実現します。

シルクスクリーン印刷について詳しくは以下ページもご覧ください。
>>シルクスクリーン印刷とは

SUS板(ステンレス板)のシルク印刷事例

上述したとおり、SUS板と相性の良いシルク印刷。ここでは、当社で製作したSUS板へのシルクスクリーン印刷製作事例をご紹介いたします。

黒/1色で印刷した銘板製作事例

壁面に取り付けた銘板の製作事例です。こちらは、主に不動産会社様が自社で管理している物件に管理会社情報を周知する目的で設置される管理看板です。黒色の1色で印刷しており、シルク印刷の発色の良さとステンレスの美しさがよくわかる事例です。

ステンレス_管理看板製作事例

チャコールグレー/1色で印刷した銘板製作事例

こちらも銘板の製作事例です。用途は先ほどご紹介した事例と同じく管理看板です。こちらの看板は、チャコールグレーの1色印刷です。先ほどの黒1色の看板事例の方がはっきりと印刷されていて良いのではと思う方もいるかもしれませんが、黒色の外壁に設置されているので看板と壁面の色味が絶妙にマッチしています。看板デザインの色を選ぶ場合は、周囲の色味も考慮されると良いかと思います。

ステンレス_管理看板(三和商事(株)様)製作事例
ステンレス_管理看板(三和商事(株)様)製作事例

銘板印刷については以下の記事でも詳しくご紹介しています。ぜひこちらもご覧ください。
>>銘板印刷には、シルクスクリーン印刷!【屋外使用に最適】

まとめ

SUSは、その高い耐食性や耐久性、加工のしやすさなどから、私たちの日常生活や工業分野で非常に多く使われています。建物の外壁や自動車の部品、さらには家庭で使うキッチン用品まで、さまざまな場面で目にすることができます。また、SUSはリサイクル性にも優れているため、環境に優しい素材としても注目されています。

特にSUS板は、シルクスクリーン印刷との相性が抜群で、屋外で使用される看板や銘板などでも色褪せにくく、長期間美しさを保つことができます。風雨や紫外線にも強いため、耐久性が求められる製品には最適な素材です。

SUSはただのステンレス素材というだけではなく、その美しい見た目や、用途の広さからも多くの人に選ばれ続けています。これからも、私たちの身近なところで役立つ素材として、SUSはさまざまな場面で活躍していくことでしょう。