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シルク印刷における特色の使い方|ロゴ・サインの発色を高めるプロの選び方

2025.11.21

シルク印刷というと、「ロゴをはっきり印刷する」「決まった色をしっかりとのせる」といったイメージを持たれる方が多いのではないでしょうか。実際、シルク印刷はインクを厚くのせることができるため、企業ロゴやサイン、ユニフォームなどではっきりとした色面を表現するのが得意な印刷方式です。

そのシルク印刷を語るうえで欠かせないキーワードが「特色(とくしょく)」です。「CMYKフルカラー」とは異なるこの考え方を理解しておくと、ロゴやブランドカラーの再現、看板やノベルティ制作の仕上がりをイメージしやすくなります。

この記事では、シルク印刷における特色とは何かという基本から、メリットや注意点、そしてどのような用途に適しているのかまでを丁寧に解説します。

そもそも「特色」とは何か?

シルク印刷において色を正確に再現したいときに欠かせないのが「特色」という考え方です。まずは、その基本となる仕組みを簡単に整理しておきましょう。

インクの色そのものを指定して作る方式

「特色」とは、印刷物の色を再現するためにインクそのものを特定の色に調合して使う方式のことです。一般的なフルカラー印刷(CMYK)は、シアン・マゼンタ・イエロー・ブラックの4色のインクを網点で重ねることで色を表現しますが、特色印刷ではあらかじめ狙った色のインクを作り、そのインクだけで色面を表現します。

たとえば「このロゴは少し青みがかった深い緑色にしたい」「蛍光感のあるオレンジ色を出したい」といった場合、CMYKで近い色を再現しようとすると素材や印刷条件によって微妙にブレてしまうことがあります。一方で特色印刷では、その色をインクとして直接作るため、より安定して同じ色を再現しやすくなります。

DIC・PANTONEなどの色番号で指定する

特色インクは「感覚的な色」ではなく、DICやPANTONEといったカラーチップ(カラーガイド)の色番号を基準に指定します。カタログ上の色番号を共有することで、デザイナー・担当者・印刷会社の間で「どの色を目指しているのか」を明確にできるのが大きなメリットです。

つまり特色印刷は、「CMYKの組み合わせで色を再現する」という考え方ではなく、“この番号の色そのものをインクにして使う”という発想の印刷方式だと言えます。

カラーチャート

なぜシルク印刷と特色は相性が良いのか?

シルク印刷では、インクをしっかりとのせる特性が活きるため、特色の持つ「固有の色味」を最大限に発揮できます。ここでは、その理由を具体的に見ていきましょう。

インク膜が厚く、発色が力強い

シルク印刷は、版(スクリーン)の孔を通してインクを押し出す仕組みのため、オフセット印刷やインクジェット印刷に比べてインク膜を厚くのせることができます。そこに特色インクを用いることで、色にコシがあり、発色の良い仕上がりを実現しやすくなります。

特に看板・サイン・ユニフォームなど、離れた場所から見られる用途では、インクの厚みと発色の強さが視認性に直結します。シルク印刷×特色という組み合わせは、「遠くから見てもパッと目に入る」「ブランドカラーの印象がしっかり伝わる」表現に向いていると言えるでしょう。

シルク印刷については以下の記事でも詳しくご紹介しています。あわせてご覧ください。
>>シルク印刷のメリット・デメリットを徹底解説!
>>インクジェット印刷とシルクスクリーン印刷の違いとは?

素材が変わっても色ブレが起きにくい

CMYKで色を作る場合、紙・布・金属・アクリルなど基材が変わるとインクの沈み込み具合や反射率が変わり、同じデータでも見え方が大きく変わることがあります。これに対して特色印刷では、インクそのものが指定色であるため、素材が変わっても色味の印象が大きくズレにくいという特徴があります。

もちろん、まったく同じに見えるとは限りませんが、CMYKのみで再現するよりも「ブランドカラーのイメージを安定して保ちやすい」という点で、シルク印刷と特色は非常に相性が良い組み合わせです。

CMYK

特色印刷でしかできない表現

特色は「インクそのものの色」を使うため、CMYKでは再現が難しい特別な色味を表現できます。ここでは、代表的な特色ならではの表現を紹介します。

蛍光色・パステル色

イベントTシャツやスポーツウェア、注意喚起サインなどで使われる蛍光色も、CMYKだけでは再現が難しい代表例です。蛍光ピンクや蛍光イエローなどの特色インクを用いることで、「一目で目を引く」ビビッドな色を実現できます。

また、やわらかい印象を与えるパステルカラーも、特色としてインクを調合することで、淡いトーンながらもしっかりとした存在感を持たせることが可能です。カフェのユニフォーム、キッズ向けイベントグッズなどに適した表現と言えるでしょう。

大きなべた面の高発色

企業ロゴやブランドカラーを大きく配置したデザインでは、広い面積を均一な色で塗りつぶす「べた面」のクオリティが重要です。CMYKの網点で広いべた面を作ると、細かなムラやザラつきが気になりやすいのに対し、特色印刷ではインクそのものの色で面をつくるため、ムラの少ない、力強いべた面を実現しやすくなります。

金・銀などメタリックカラー

CMYKの4色には「金」「銀」という色は存在しません。そのため、金属的な光沢表現をしたい場合には、特色インクとしての金・銀(メタリックカラー)を用いる必要があります。特にシルク印刷ではインクを厚めにのせられるため、金属顔料の粒子感や光沢感がしっかりと表現され、高級感のある仕上がりを実現しやすくなります。

記念品、表彰プレート、酒器、限定ノベルティなど、「特別感を出したいアイテム」では、金・銀の特色を使ったシルク印刷がよく採用されます。以下の記事でも詳しくご紹介しておりますので、あわせてご覧ください。
>>金色や銀色の印刷はシルク印刷でできる?上品な輝きを生かした印刷の魅力

▼金・銀インクのシルク印刷事例
一合枡_金色シルク印刷

一合枡_銀色シルク印刷

特色印刷が使われる代表的なシーン

特色は「正確な色を再現したい場面」や「他にはない質感を表現したい場面」で特に効果を発揮します。ここでは、実際によく採用される用途を紹介します。

企業ロゴ・コーポレートカラー

コーポレートサイトやパンフレット、看板、ユニフォームなど、企業ロゴがさまざまな媒体で使われる場合、「どこで見ても同じ色に見えること」が重要になります。そのため、ロゴ部分については「この色番号で印刷してください」と特色指定を行い、媒体が変わってもブランドカラーの印象が大きく変わらないようにするケースが多く見られます。

店舗サイン・屋外看板

道路沿いの看板やファサードサインなど、遠くから見られるサインでは、色の印象が来店のきっかけになることも少なくありません。シルク印刷を用いたパネルサインや建築用サインでは、特色インクによる高発色・高耐候性を活かして、店舗のイメージカラーをしっかりと表現することがよくあります。

ノベルティ・名入れグッズ

ボールペン、ファイル、トートバッグなどの名入れグッズでは、1~2色のシンプルなデザインで企業ロゴを印刷するケースが多くあります。こうした用途では、シルク印刷×特色によって、ロゴの線をくっきり、色をパキッと見せることができ、配布物としての印象を高めることができます。

▼ロゴのシルク印刷事例
STAY SICK様_シルク印刷ロールスクリーン事例

>>この事例をもっと詳しく見る

特色印刷のメリット

特色印刷には、CMYKでは再現しにくい色表現や、ブランドカラーの安定した再現など、多くのメリットがあります。ここでは、代表的な利点をわかりやすく整理します。

発色が鮮やかで、視認性が高い

特色インクは、その色のために最適化された顔料・樹脂を使って調合されています。そのため、CMYKの混色では出しきれない鮮やかさや深みを表現できる場合が多く、特にべた面やロゴなどでは視認性の高さにつながります。

ブランドカラーを正確に再現しやすい

企業やブランドにとって、コーポレートカラーは大切な資産のひとつです。特色印刷を用いることで、「DIC○○番」「PANTONE△△」といった色番号を基準に、媒体をまたいだ色の統一を図ることができます。印刷案件が複数の工場・業者にまたがる場合でも、「この番号の特色で」と指定することで、色合わせの基準が共有しやすくなります。

耐久性の高い印刷に向いている

シルク印刷はもともとインク膜が厚く耐久性に優れていますが、そこに特色インクを組み合わせることで、屋外用途や頻繁に洗濯するウェアなど、厳しい条件下でも色味を長く保ちやすくなります。特に看板・工業プレート・スポーツチームウェアなど、「長く使う前提の印刷物」との相性が良いと言えます。

特色印刷の注意点・デメリット

特色印刷は多くのメリットがある一方で、運用面で知っておきたい注意点も存在します。ここでは、代表的なデメリットを整理してお伝えします。

色数が増えるほど版代・コストが上がる

シルク印刷は1色につき1版が必要なため、特色を多用して4色・5色と増やしていくと、その分だけ版代・インク代・刷り工程が増え、コストも上昇します。1~2色でメリハリをつけるデザインには向いていますが、多色ロゴやカラフルなイラストをすべて特色で再現しようとすると、現実的でない場合もあります。

写真や細かな階調表現には不向き

特色インクは、「この色の面をはっきり見せる」ことに向いている一方で、写真のような階調表現やグラデーションには向きません。複雑な階調を表現したい場合は、4色分解などCMYKベースの手法が適しています。特色印刷はあくまで「決まった色をしっかり見せたい部分」に絞って検討すると良いでしょう。

4色分解については、以下の記事でも詳しくご紹介しています。あわせてご覧ください。
>>シルク印刷の4色分解とは?写真表現ができる仕組みと注意点を徹底解説

色のバリエーションを増やしたい場合には工夫が必要

特色は1色ごとにインクを用意するため、細かな色バリエーションをたくさん使いたいデザインには向いていません。多色表現が必要な場合には、「ベースはCMYKで、特に重要な色だけ特色を使う」など、他方式との組み合わせを検討することもあります。

まとめ

シルク印刷における「特色」とは、DICやPANTONEなどの色番号を基準に、インクそのものを特定の色に調合して使う印刷方式です。CMYKの混色では生まれにくい色味を安定して再現でき、ロゴやブランドカラーのように“毎回同じ色であること”が求められる表現に適しています。

また、シルク印刷はインク膜を厚くのせられるため、特色と組み合わせることで、力強い発色や高い視認性、大きなべた面の美しさ、金・銀・蛍光色といった特別な色の表現など、特色ならではの魅力を最大限に引き出せます。一方で、色数が増えるほど版代が上がることや、写真・細かな階調表現には向かないといった性質も理解しておく必要があります。

「正確な色を安定して再現したいのか」「遠くから目立つ色にしたいのか」「多色ビジュアルを扱いたいのか」──制作物の目的によって適する印刷方式は変わります。特色印刷の特性とCMYK系の表現方法を理解しておくことで、より理想に近い色表現を選びやすくなり、シルク印刷の持つ可能性をより広く活かすことができるでしょう。