塩ビ板とアクリル板の違い
2024.10.03
塩ビ板やアクリル板は、透明で軽量な素材として、看板やパーテーション、装飾など多くの用途で広く利用されています。それぞれ異なる特性を持つため、使用環境や目的に応じて適切な選択をすることが重要です。この記事では、塩ビ板とアクリル板それぞれの特徴や用途をはじめ、塩ビ板とアクリル板の違いについて詳しく解説します。ぜひ最後までお読みください。
塩ビ板とは?
塩ビ板とは、「ポリ塩化ビニル(PVC)」を主成分とするプラスチック素材です。日常生活の中でよく目にするこの素材は、特に看板やパーテーション、建材として広く使われています。柔らかくて加工しやすい性質があり、比較的低価格で手に入るため、多くのシーンで活用されています。
塩ビ板の特徴
塩ビ板は、以下のような特徴を持っています。
- 低価格でコストパフォーマンスが高い
塩ビ板は、アクリル板と比べて大幅に安価です。そのため、限られた予算内で素材を選びたい場合には、塩ビ板がよく選ばれます。特に大量生産が必要な場合や、コスト削減が求められるプロジェクトには非常に適しています。
- 加工の柔軟性が高い
塩ビ板は柔らかく、カットや曲げ加工が容易であり、さまざまな形に加工できるため、細かい造形が求められる場面や、薄いフィルム状のものから厚手の板まで多彩なバリエーションが可能です。例えば、窓の防風フィルムや室内装飾、床のカバー材としても活用されています。
- 衝撃に強く割れにくい
柔軟性があるため、塩ビ板は衝撃に対して非常に強いです。割れにくく、使い勝手が良いことから、交通標識や一時的な屋外設置物にも利用されています。また、看板としても塩ビの柔らかさと耐久性が評価され、特に屋内での使用に向いています。
- 耐候性と耐久性は低め
塩ビ板は、高温や低温といった過酷な環境下では性能が低下しやすいため、長期間の屋外使用には適していません。直射日光にさらされると変形や色あせが発生することがあるため、屋外での長期利用にはあまり向いていません。
塩ビ板の主な用途
塩ビ板の用途は幅広く、以下のような場面で使用されます。
- パーテーションや仕切り
オフィスや公共施設、飲食店などでよく見られる塩ビ製のパーテーション。軽量で衝撃に強いため、衝突による破損のリスクが少なく、持ち運びもしやすいです。特に一時的な設置や、頻繁にレイアウトを変更する場合に適しています。
- 医療用器具や保護具
塩ビ板は、医療現場で使用される保護具や器具の素材としても利用されています。フェイスシールドや医療用トレー、カバー類などに使われることが多く、耐久性や加工のしやすさ、また清掃や消毒が容易な点が評価されています。特に軽量で柔軟性があり、医療環境での取り扱いが容易です。
- 床材や壁材
塩ビ板は耐水性や耐薬品性にも優れているため、床や壁の装飾材としても活用されます。特に、工場や厨房などの水や薬品を使用する場所では、メンテナンスの手間がかからない素材として重宝されています。
- 屋内看板
コストを抑えながら看板を作成する際、塩ビ板はよく選ばれます。屋内での使用が中心となるため、耐候性を気にせず、軽量で取り扱いやすい点が評価されています。
- 交通標識
短期間で設置・撤去が必要な一時的な交通標識や工事現場の看板など、衝撃に強く、軽量な塩ビ板が使われます。特に突発的な工事やイベントでの使用に向いています。
- 一時的な屋外サイン
屋外での短期間のイベントや工事現場でのサインとしても塩ビ板は使用されます。価格が安いため、大量のサインや一時的な案内表示を作成する場合に適していますが、長期間の使用には向いていません。
アクリル板とは?
アクリル板は、「アクリル樹脂」と呼ばれるプラスチックの一種で、透明度や見た目の美しさが際立つ素材です。軽量でありながらもガラスのような質感を持ち、耐久性も高いため、看板やディスプレイ、水槽などの多くの場面で使用されています。
アクリル板の特徴
アクリル板は、次のような特徴を持っています。
- 圧倒的な透明度
アクリル板の透明度は非常に高く、プラスチック素材の中でもガラスに匹敵するほどです。厚みがあっても視界がクリアで、透過率も高いため、特に見栄えを重視する看板やショーケース、窓の代替素材として人気があります。可視光線の透過率は93%を超え、ガラスのような光沢を維持します。
- 優れた耐候性
アクリル板は、長期間太陽光や風雨にさらされても、劣化しにくいという特性を持っています。屋外使用での耐候性が高く、紫外線や雨風による変色や劣化がほとんどないため、屋外看板や外装材として最適です。特に、長期間メンテナンスが不要な点が大きなメリットです。
- 硬度と耐衝撃性のバランス
アクリル板は硬度が高いため、表面が傷つきやすい一方、非常に強固な構造を持っています。ガラスと同程度の硬さがあるため、ショーケースや水槽に使われることもありますが、強い衝撃が加わるとひび割れやすいデメリットもあります。
- 加工の難しさ
アクリル板は非常に硬いため、塩ビ板に比べると加工が難しい素材です。特に薄く加工する際には、技術的な難しさが伴います。また、紫外線の影響で黄ばむこともあるため、定期的なメンテナンスが必要です。
アクリル板の主な用途
アクリル板は高い透明度と耐候性から、以下のような場面で活用されています。
- ショーケースやディスプレイ
高級感を演出したい場所や、美観を重視したディスプレイには、透明度の高いアクリル板が使用されます。特に、店舗のディスプレイや宝石店のショーケース、博物館の展示ケースなどでよく見かけます。
- 水族館の水槽
耐久性が高く、透明で美しい見た目が求められる大型の水槽にはアクリル板が使用されています。ガラスより軽量で、視界がクリアなため、水中の様子を鮮明に楽しめる素材として選ばれています。
- 屋外看板や広告板
アクリル板は、特に長期間の屋外使用に適しているため、広告看板や案内板として頻繁に使用されます。透明なアクリル板を使うことで、夜間でも照明が当たると美しい光沢を放ち、注目を集めます。
- 照明パネル(LED看板)
光を効率よく拡散するアクリル板は、LEDを使用した看板や照明パネルに最適です。内照式看板としても利用され、昼間と夜間で異なる雰囲気を演出できることから、多くの店舗で採用されています。
- 高級感のあるパーテーションや仕切り
オフィスや店舗内で高級感を出すために、アクリル製のパーテーションがよく使われます。クリアな視界と優れたデザイン性が求められる空間に最適です。
- 電飾看板
透明アクリル板は、光源を内蔵する電飾看板の素材としても使用されます。光を美しく反射・拡散させるため、夜間営業を行う店舗や施設のサインとしても人気があります。
塩ビ板とアクリル板の違い
塩ビ板とアクリル板は、それぞれ異なる特性を持つプラスチック素材で、用途によって適切な選択が求められます。以下に主要な違いをまとめます。
- 透明度
アクリル板の透明度は非常に高く、光の透過率も93%とプラスチック素材の中でトップクラスです。一方、塩ビ板は透明度がやや低く、透明性を重視する場面ではアクリル板が選ばれます。
- 耐候性
アクリル板は紫外線や風雨に強く、長期間屋外で使用しても劣化しにくい点が大きな特徴です。塩ビ板は高温や低温に弱く、屋外での使用には不向きです。
- 加工のしやすさ
塩ビ板は柔らかく、加工しやすい素材です。切断や曲げ、接着などが容易で、複雑な形状の製品にも対応可能です。一方、アクリル板は硬度が高く、加工が難しいため、シンプルな形状に向いています。
- 価格
塩ビ板はアクリル板に比べて安価です。コストパフォーマンスを重視する場面では、塩ビ板が優れていますが、デザイン性や耐久性を求める場面ではアクリル板が選ばれることが多いです。
塩ビ板とアクリル板は、上述した通り様々な違いがありますが、両者ともシルク印刷が可能な素材であり、印刷物や看板、ディスプレイなどに利用されています。それでは、実際にどのようにシルク印刷が活用されているか、次章にてそれぞれの素材のシルク印刷事例を紹介します。
それぞれの素材のシルク印刷事例
シルク印刷は、さまざまな素材に対応できる優れた印刷手法です。特に、塩ビ板とアクリル板は、シルク印刷によって高い視認性や耐久性を実現し、さまざまな用途で利用されています。これにより、印刷内容が長期間鮮明に保たれるだけでなく、デザイン性を高めることも可能です。シルク印刷について詳しくは以下のページもご覧ください。
>>シルク印刷とは
塩ビ板の事例
こちらは、塩ビ板に宿泊施設での大浴場利用ルールを印刷しています。塩ビ板の特徴である柔軟性の高さを活かした形状です。
>>その他の事例はこちら
アクリル板の事例
こちらは、アクリル板を用いた社名プレートの製作事例です。アクリル板の特徴である優れた耐候性により、屋外使用も問題ありません。
>>その他の事例はこちら
まとめ
塩ビ板とアクリル板は、それぞれの特性に応じて適切な用途に使い分けられる重要な素材です。塩ビ板は、コストパフォーマンスに優れ、加工がしやすいため、短期間の標識や屋内の装飾、保護具などに向いています。
一方、アクリル板は透明度が高く、耐候性に優れ、長期間の屋外看板やディスプレイに適しています。さらに、両素材ともシルク印刷に対応しており、高い耐久性と美しさを両立した印刷物を提供することが可能です。塩ビ板やアクリル板で何かを製作する場合は、用途に応じて素材を適切に選ぶことが重要です。
塩ビ板とアクリル板については、以下の記事もございますので、ぜひ参考にしてください。
>>塩ビ板へのシルク印刷とは?
>>アクリル板に印刷する方法