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アクリル板に印刷する方法

2024.08.30

アクリル板は、その高い透明度と耐久性から、看板やPOP、ノベルティなどさまざまな用途で使用されています。軽量でありながら優れた透明度を持つこの素材は、印刷するための優れた選択肢でもあります。しかし、印刷方法や使用するインクの種類により、仕上がりの質や耐久性が大きく異なることがあります。この記事では、アクリル板の基本情報からアクリル板に印刷する方法の詳細を解説します。

アクリル板とは?

アクリル板は、正式には「アクリル樹脂板」と呼ばれ、プラスチックの一種であるアクリルを素材としています。主な成分はポリメチルメタクリレート(PMMA)で、軽量で透明性が非常に高いのが特徴です。アクリル板の光線透過率は約93%で、これはガラスよりも優れた透過性を持つことを意味します。さらに、ガラスと比べて破損しにくく、割れた際に破片が飛散しにくいという安全性も評価されています。

また、アクリル板は耐候性が高く、長期間の屋外使用に耐えることができます。紫外線や風雨に対する耐性があり、変色や黄変が起こりにくいため、看板や外装部品などの用途に最適です。また、耐衝撃性が高く、ガラスの約16倍の強度を持つため、衝撃が加わる可能性のある場所でも安心して使用できます。

しかし、アクリル板にも欠点があります。例えば、キズがつきやすいという点や、化学薬品(特にアルカリ性溶液)に弱いという特性です。このため、取り扱いや保管方法にも注意が必要です。

アクリル板

>>アクリル板についてはこちらのページもご覧ください

アクリル板の種類と特徴

アクリル板には、いくつかの種類があり、それぞれ異なる特徴と用途があります。主なアクリル板の種類は以下の通りです。

  • キャストアクリル板:このタイプのアクリル板は、液体のアクリルモノマーを型に流し込んで固める方法で製造されます。製造工程が比較的時間を要するため、コストが高めですが、優れた透明度と耐久性を持ち、傷がつきにくい特性があります。また、加工が容易で、切断や穴あけなどの加工も美しく仕上がるため、ディスプレイケースやアクリルスタンド、サインプレートなどの製品に最適です。
  • 押出アクリル板:押出アクリル板は、加熱したアクリル樹脂を押し出し成形する方法で製造されます。キャストアクリルに比べてコストが低く、薄くて軽量な製品を作るのに適しています。しかし、キャストアクリルよりも傷がつきやすく、耐熱性や化学薬品への耐性がやや劣ります。そのため、短期間で使い捨てされる製品や、屋内で使用するサイン、キーホルダーなどに適しています。
  • クリアアクリル板:透明度が高く、光を通しやすいクリアアクリル板は、写真やポスターの保護カバー、フォトフレーム、ディスプレイスタンドなどに使用されます。その透明感を活かしたデザインが可能で、印刷の発色も鮮やかに見えるのが特徴です。
  • マットアクリル板:表面がマット仕上げのアクリル板は、光の反射を抑えるため、反射光が気になる場所や、美術館・ギャラリーでの使用に適しています。グレア(眩しさ)を防ぎつつ、落ち着いた高級感のある仕上がりになります。
  • カラーアクリル板:さまざまな色に着色されたアクリル板は、POPディスプレイ、店舗装飾、アクリルスタンドなどに使用されます。色によって光の透過率が異なるため、デザインに応じて最適なカラーを選ぶことができます。
  • ミラーアクリル板:片面が鏡面仕上げになっているアクリル板で、軽量で割れにくいのが特徴です。安全性が求められる場所や、装飾用途として使用されます。特に、イベント会場や展示ブースでの装飾パネルとして人気があります。

各種類のアクリル板は、それぞれの特性に合わせて適切な印刷方法を選ぶことで、最高の仕上がりを実現することが可能です。例えば、キャストアクリル板はシルクスクリーン印刷やUVインクジェット印刷に向いており、ミラーアクリル板はエッチングやグラビア印刷で効果的に使用されることが多いです。

アクリル板はどのように活用されている?

アクリル板はその多彩な特性を生かして、さまざまな分野で使用されています。以下に、代表的な活用方法を紹介します。

アクリルスタンド

「アクスタ」とも呼ばれるアクリルスタンドは、キャラクターグッズとして人気があります。透明なアクリルにキャラクターやロゴを印刷し、立体的に加工することで、インパクトのあるディスプレイアイテムとして使用されます。

推し活文化とアクスタの急増

近年、いわゆる「推し活」文化が急速に広がりを見せており、それに伴いアクスタの需要も大きく増加しています。「推し活」とは、アイドルやアニメキャラクター、バンドなどの「推し」(応援したい存在)を積極的に応援し、その活動に没頭することを指します。この文化の中で、ファンたちは推しのキャラクターやアイドルを身近に感じるための手段として、アクスタを集めたり、ディスプレイしたりするのが一般的です。

例えば、アニメやゲームのキャラクターのアクスタは、そのキャラクターを忠実に再現したデザインで製作され、多くのファンにとってはコレクターズアイテムとして価値があります。アクスタは机や棚、写真撮影用の小物としても使えるため、ファンたちのSNS活動においても重要な役割を果たしています。これにより、イベントやフェスティバル、オンラインショップでのアクスタ販売が急増し、多くの製造業者が新しいデザインや素材の提案を行うようになっています。

また、アクスタはその独特の透明感とデザイン性から、手軽にカスタマイズができる点でも人気です。ファンが自分だけのデザインでカスタムアクスタを作成したり、写真やステッカーを組み合わせて「推し」の魅力をさらに引き出すアイテムとして活用されています。このように、推し活文化の普及によって、アクスタの生産と需要が急速に拡大しています。

アクリルキーホルダー

オリジナルグッズとして定番のアクリルキーホルダーは、透明度の高さを活かして、印刷面がクリアに見えるデザインが特徴です。両面印刷が可能で、表と裏で異なるデザインを施すこともできるため、企業のノベルティや記念品として幅広く利用されています。

サインプレート

アクリル板は、店舗のサインプレートや案内板としても活用されています。その耐候性と耐久性により、屋内外を問わず長期間にわたって使用することができ、カスタマイズ性も高いため、さまざまなデザインに対応可能です。

フォトフレーム

アクリルフォトフレームは、その透明度が写真の色彩を鮮やかに保つため、家庭用やギフト用として人気です。軽量で割れにくい特性があるため、安全性も高く、子供や高齢者がいる家庭でも安心して使えます。特に、壁掛けやスタンド型のフレームとして多くのバリエーションが存在します。

ディスプレイケース

アクリル板の透明度と強度は、コレクション用のディスプレイケースとしても優れた特性を発揮します。長期間にわたり展示物を保護しながら、美しく見せることができ、コレクターや博物館などで重宝されています。また、アクリル板は加工が容易で、カスタムメイドのディスプレイケースを製作する際にも柔軟に対応できます。

アクリル板に印刷する方法

アクリル板に印刷を行う方法は複数存在し、それぞれに特有のメリットとデメリットがあります。以下では、代表的な印刷方法について詳しく解説します。用途やロット数など、ご希望にあった最適な印刷方法選択の参考にしてください。

シルクスクリーン印刷

シルクスクリーン印刷は、アクリル板への印刷で一般的に使用される方法の一つです。この印刷方法では、インクをスクリーン(網状の版)を通して直接素材に押し付けて印刷します。特に少ない色数で鮮明な仕上がりが求められる場合に最適で、販促品や企業ロゴの印刷に広く使用されています。

メリット

  • 大量生産に適している:一度版を作成すれば、同じデザインを短時間で大量に生産することが可能です。
  • 色の再現性が高い:お客様が指定したカラーも忠実に再現でき、調色も可能です。これは企業のブランディングを強化する際に非常に有効です。
  • コストパフォーマンスが良い:特に大量生産時には、他の印刷方法に比べてコストを抑えることができます。

デメリット

  • 細かなディテールには不向き:インクの粒子が大きいため、細かいディテールやフルカラー印刷、グラデーションの再現は難しいです。
  • 乾燥時間が必要:インクを素材に定着させるために、一定の乾燥時間が必要です。このため、急いで製品を仕上げる必要がある場合には不向きです。

UVインクジェット印刷

UVインクジェット印刷は、紫外線で硬化するインクを使用する印刷方法です。この方法では、インクを吹き付けた直後に紫外線を照射して硬化させるため、インクがすぐに定着し、耐久性が向上します。

メリット

  • 高解像度で精密な印刷が可能:最大1800dpiの解像度で印刷できるため、細かなディテールやフルカラーの写真も美しく再現できます。
  • 乾燥時間が不要:紫外線硬化により、インクが瞬時に硬化するため、すぐに次の工程に進むことができます。
  • 屋外耐久性が高い:紫外線や雨風に対する耐性が高く、屋外での長期間使用に適しています。

デメリット

  • 量産には不向き:1枚ずつ印刷する必要があるため、大量生産にはコストがかかります。
  • 特定の素材に限定される:使用するインクや印刷機の種類によって、印刷可能な素材が限定されることがあります。

転写式印刷

転写式印刷は、転写紙を使ってインクをアクリル板に転写する方法です。この方法は、手軽に印刷ができるため、少量の製作に適しています。

メリット

  • 簡単に印刷が可能:転写紙を使用するため、特別な技術を必要とせず、比較的簡単に印刷ができます。
  • 小ロットに対応:少量の製作でもコストがあまりかからないため、小ロット製作に向いています。

デメリット

  • 耐久性に欠ける:インクが素材にしっかりと定着しないため、外的な衝撃や摩擦で剥がれやすいです。
  • 大量生産には不向き:1枚ずつ手作業で転写する必要があるため、量産には向きません。

アクリル板のメンテナンスと長持ちさせるコツ

前章にてアクリル板に印刷する方法をご紹介しましたが、印刷した後のアクリル板を長持ちさせるためには、適切なメンテナンスが必要です。以下のポイントを守ることで、アクリル板の透明度や美しさを保ちながら、より長く使用することができます。

  • 定期的なクリーニング:アクリル板は、表面が滑らかでほこりや汚れが目立ちやすいため、定期的なクリーニングが必要です。柔らかい布やスポンジを使用し、中性洗剤を水で薄めたもので拭き取ります。強力な溶剤やアルコールを含む洗剤は、表面を傷つけたり曇りの原因になるため使用しないようにしましょう。
  • 傷の防止:アクリル板はキズがつきやすい素材のため、取り扱いには注意が必要です。保管する際には、アクリル板同士が直接接触しないようにし、クッション材や布で包むと良いでしょう。また、硬い物と擦れないようにすることも重要です。万が一表面に細かいキズがついてしまった場合は、専用の研磨剤で磨くことで修復できることがあります。
  • 直射日光や高温を避ける:アクリル板は紫外線に対してある程度の耐性がありますが、長期間直射日光にさらされると、変色や劣化の原因となることがあります。また、60度以上の高温に長時間さらされると変形する可能性があるため、過度な熱源からも遠ざけるようにしてください。
  • 定着性の強化:印刷後のアクリル板を使用する場合、印刷部分を保護するための適切な対策が必要です。UVカットコーティングを施す、またはラミネート加工を行うことで、印刷面を保護し、色あせや傷を防ぐことができます。
  • 保管方法:長期間使用しない場合は、アクリル板を適切に保管することが大切です。湿気の少ない場所に保管し、重ね置きを避け、立てて保管することをおすすめします。また、表面に埃や汚れが付着しないように、保護フィルムを貼ると効果的です。
  • 適切なクリーニング製品を使用する:専用のアクリルクリーナーを使用することで、表面のクリアな状態を保ち、汚れや静電気による埃の付着を防ぐことができます。これらのクリーナーは、アクリルに特化しており、効果的に汚れを落としつつ、表面を保護します。

これらの方法を実践することで、アクリル板を美しく長持ちさせることができます。正しいメンテナンスを行うことで、製品の寿命を延ばし、長く美観を保つことができます。

アクリル板のシルク印刷 製作事例

これまでアクリル板に印刷する方法をご紹介をしてまいりましたが、当社で得意としているシルク印刷を施したアクリル板の製作事例をご紹介します。アクリル板へのシルク印刷を検討されている方は、ぜひ参考にしてください。

アクリルプレート(透明)

透明アクリル板にシルク印刷を施したスタイリッシュなデザインの社名プレートです。シルク印刷の特徴である「鮮明な印刷」仕上がりがよくわかる事例です。

アクリル板_シルク印刷事例

>>その他のシルク印刷事例はこちら

アクリルプレート(カラー)

ネイビーのカラーアクリル板にシルク印刷を施した社名プレートです。シルク印刷はフルカラーやグラデーションには不向きですが、こちらの事例のようにカラーアクリル板に印刷することで鮮やかなプレートの製作が可能です。

カラーアクリル板_シルク印刷事例
>>その他のシルク印刷事例はこちら

まとめ

アクリル板は、その透明度と耐久性を活かして、さまざまな用途で使用されています。それに合わせて印刷方法も選ぶことができます。シルクスクリーン印刷はシンプルで大量生産に向いていますが、UVインクジェット印刷は高精度な表現を可能にします。各印刷方法の特性を理解し、目的に応じた最適な方法を選択することで、アクリル板の活用範囲がさらに広がるでしょう。

当社ではシルク印刷を得意としております。少ない色数で鮮明な仕上がりをご希望の場合は、ぜひお見積や納期などお気軽にお問い合わせください。
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