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2025.11.19
シルク印刷と聞くと、「ロゴをハッキリ印刷する」「特色でしっかり色をのせる」──そんなイメージを持つ方も多いのではないでしょうか。確かにシルク印刷は、単色や2~3色のデザインをくっきり再現するのが得意な方式です。
しかし実は、シルク印刷でも写真やグラデーション風の表現を再現するための方法があります。それが本記事で解説する、4色分解(よんしょくぶんかい)です。
「4色分解って何?」「プリンターのフルカラーとどう違う?」「どんなときに使う方法?」と疑問に思う方のために、この記事では仕組み・メリット・注意点・使い分けまで、わかりやすくまとめています。
シルク印刷には、単色のはっきりした表現だけでなく、多色デザインに対応するための技法がいくつか存在します。そのひとつが「4色分解」です。このあと、まずはシルク印刷の基本的な仕組みを解説し、そのうえで4色分解がどのように成り立つのかをご紹介していきます。
シルク印刷は“版を使ってインクを押し出す”印刷方式です。プリンターのようにインクを混ぜながら吹き付けるのではなく、色ごとに専用の版をつくり、必要な部分にだけインクを通します。
つまり、1色につき1つの版が必須であり、色数が増えるほど版の数も増えていきます。そのため、写真のように何万色もの色をそのまま扱うことはできません。ではどうやって写真風の表現を作るのか?そこで登場するのが「4色分解」です。4色分解については、このあと詳しくご紹介します。
シルク印刷についてもっと詳しく知りたい方は以下のページもご覧ください。シルク印刷の工程を写真付きでご紹介しています。
>>シルク印刷とは

4色分解とは、画像データをCMYK(シアン・マゼンタ・イエロー・ブラック)の4色に分け、それぞれを版として重ねて印刷する方法です。
4つの色を点(網点)の濃淡で表現しながら重ねることで、写真に近い色味を作り出します。プリンターのフルカラーと似た考え方ですが、シルク印刷はインクを厚くのせるため、よりアナログ感のある風合いになります。
ただし、シルク印刷は網点(ドット)の細かさに限界があるため、完全に滑らかなグラデーションは不得意です。とはいえ、工夫次第で“写真風・グラデーション風”の表現は十分可能です。

シルク印刷でのグラデーションやフルカラー仕上げについてより詳しく知りたい方はこちらも参考にしてください。
>>シルク印刷でグラデーションはできる?
>>シルクスクリーン印刷で「フルカラー可能」は本当?
4色分解を用いたシルク印刷には、通常の単色・特色印刷では得られない表現やメリットがあります。ここでは、4色分解ならではの強みを順に見ていきましょう。
4色分解の最大の利点は、写真のような階調表現や色数の多いデザインを、シルク印刷の仕組みを活かしながら再現できる点です。シルク印刷は本来、単色や2色印刷が得意ですが、CMYKの網点を適切に重ねることで、空のグラデーションや風景写真など、従来は難しかった表現にも対応できるようになります。完全なグラデーションではなく“グラデ風”の質感になりますが、その独特の風合いを好むデザイナーも多く、表現の幅を広げられる技法として注目されています。
4色分解は、CMYKの4色だけで多彩な色を表現できるため、特色インクを複数準備する場合と比べて版数を大幅に減らせる利点があります。たとえば10色以上の特色が必要なフルカラー風デザインでも、4つの版を作れば印刷が可能です。そのため、色数の多いイラスト・写真・アート作品などを効率よく製作したい場合に適しています。
シルク印刷ならではの“インクの厚み”と“網点の粒状感”が加わることで、デジタル出力にはないアナログの味わいが生まれます。特にポスターアートやライブグッズでは、網点のザラッとした質感をあえてデザインとして活かすケースが多く、仕上がりは版画作品に近い雰囲気になります。作品性・アート性を重視したい場合に、4色分解は非常に相性の良い技法です。
インクを厚くのせられるシルク印刷は、摩耗や紫外線に強く、屋外用途やアパレルなど過酷な環境で使用されるアイテムにも向いています。インクジェットプリントのように表面に薄く定着する方式とは異なり、しっかりとしたインク膜が形成されるため、フルカラー風でありながら長期間の使用に耐える丈夫な仕上がりになります。
4色分解には大きなメリットがある一方で、仕上がりに影響しやすい注意点や難しさもあります。ここでは、実際の制作現場で特に気を付けたいポイントをご紹介します。
CMYKは素材の影響を大きく受けるため、紙・布・木材・アクリルといった基材によって発色が変わり、元の写真と完全に同じ色を再現するのは容易ではありません。特に深い青や鮮やかな赤は素材の吸収率に左右されやすく、細かな色補正や試し刷りが必須となります。
シルク印刷の網点線数(LPI)は35〜65程度が一般的で、紙印刷(オフセット)の150LPI以上と比べると粗めです。そのため、スマートフォン写真など高精細な画像をそのまま再現しようとすると、暗部が潰れたり細部の階調が不足したりします。4色分解では、元データの調整と網点設計が仕上がりに大きく影響します。
シルク印刷は対応できる素材が広い一方で、素材ごとに色の見え方が変わるという難しさがあります。特に布は繊維の凹凸にインクが沈み込みやすく、紙よりもコントラストが弱くなる傾向があります。また、表面が粗い素材では網点が正しく再現されず、色ブレにつながることもあります。
4色分解を行うには、CMYKそれぞれの版を作成する必要があり、単色印刷に比べて製版コストが高くなります。また、版ズレを避けるための調整や試し刷りに時間がかかることが多く、小ロットの場合は割高になるケースもあります。大量生産向きではありますが、用途によっては特色印刷のほうが適している場合もあります。
シルク印刷には「4色分解」のほかに、特色印刷(とくしょくいんさつ)と呼ばれる方式もあります。目的やデザインによって最適な方式が異なるため、この章では両者の違いと使い分けの考え方を詳しく解説します。
特色印刷とは、CMYKではなく、インクそのものに特定の色を調合して使用する方法です。企業ロゴのコーポレートカラーを正確に再現したい場合や、金・銀・蛍光色などCMYKでは再現できない色を使うときに用いられます。
たとえばDIC・PANTONEなどで色番号が指定されている場合、「その色をそのままインクにする」のが特色印刷です。シルク印刷はインクを厚くのせられるため、発色が良く、色ブレが起きにくいという利点があります。
4色分解はCMYKの“網点の重なり”によって色をつくり、特色印刷は“インクそのものの色”で表現します。そのため、次のような特徴の違いがあります。
どちらが優れているかではなく、デザイン目的によって選択基準が異なると考えるのが正解です。
企業ロゴやブランドカラーは、媒体ごとに色が変わらないことが重要です。CMYKでは素材によって発色が変わることがありますが、特色印刷ならインクそのものが指定色のため、あらゆる素材で色を統一できるという大きなメリットがあります。
看板・名入れ・アパレル・什器・パッケージなど、ブランドカラーを正確に維持したい場面では特色印刷が最も適しています。
写真は何万色もの色で構成されているため、1色=1版の特色では表現しきれません。そのため、階調や陰影を再現できる4色分解が最適です。
風景写真、人物写真、色数の多いイラスト、グラデーション風背景など、複雑な色表現を必要とするデザインで力を発揮します。
ロゴ部分のみ特色でくっきり再現し、写真やイラスト部分だけ4色分解で刷るといったハイブリッド印刷も可能です。
たとえば以下のようなケースでは、2つの方法を組み合わせることで仕上がりの質が大きく向上します。
このように、技法の強みを組み合わせることで、“発色の正確さ”と“写真表現”の両立が可能になります。
4色分解と特色印刷はどちらが優れているという話ではなく、求める品質によって最適解が変わります。
素材やデザインによって最適な方式は変わります。迷った場合は、本記事の比較ポイントを参考に、目的に合った方法を選んでみてください。
シルク印刷の4色分解は、CMYKの網点を重ねて多彩な色を表現する技法であり、シルク印刷でも写真風・グラデーション風の表現に近づけるための手段として使われてきました。デジタル印刷とは異なる、アナログ特有の風合いが得られる点も注目される理由のひとつです。
ただし、4色分解には素材ごとの発色差や網点の限界といった課題もあり、元画像どおりの再現が難しいケースもあります。どのような仕上がりを優先したいかによって、4色分解が適しているかどうかは大きく変わります。
ロゴの正確な色味を重視するのか、写真らしさを求めるのか、あるいは“風合い”を優先したいのか──目的によって選ぶべき方法が異なる点が、シルク印刷の面白さでもあります。
本記事の比較ポイントを参考に、デザインの種類や仕上がりイメージに応じて「4色分解」と「特色印刷」を使い分けることで、より意図に合った表現を実現しやすくなります。